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第6回 何を書くか①

 今回と次回において,作文を書くうえで最も本質的なテーマを取り上げます。それは,「何を書くか」ということです。この点について,みなさんに多い間違いが,三つあります。まずはこの三つの間違いを把握しましょう。


「何を書くか」における三つの間違い


①消極的,もしくは,あいまいな意見を書く。

 作文の課題は,みなさんにとって常に唐突です。考えてみたこともない課題だということもあるでしょう。だからと言って,たとえばもし,「敬語」という課題に,「私は敬語について真剣に考えたことがありません」「まあ,どちらでもかまわないと思う」と書いたらどうでしょう。その後,文章を続けること自体が難しいでしょうし,その後に続く内容からも高い得点は望めません。採点者の先生は,課題に対する,みなさんの前向きで積極的な心情や意見を求めています。みなさんは,感性や記憶,思考力を総動員して,前向きな姿勢で作文を書かなくてはいけません。


②きれいごとを書く。
 では逆に,「敬語は非常に大切です。普段から正しい敬語を使うよう心がけなくてはいけないと思います」と書くのはどうでしょうか。正論ではありますが,どこかで何度も聞かされたような内容です。実は,みなさんの作文を見ていると,作文と道徳を混同した作文,きれいごとやりっぱなことを書き連ねようとしている作文を多く見かけます。このような“道徳的作文”は内容が空疎なうえに,結局,どれも似通った紋切り型の内容になってしまいます。採点者の先生は,あなた個人の経験や個性的な意見を読みたいのであって,紋切り型の道徳的意見を改めて読みたいわけではない,ということをしっかり意識してください。


③課題の定義づけをしなくては,と思っている。
 たとえば,課題が「敬語」の場合,「敬語とは,……」といった書き出しの作文を多く見かけます。課題は,何かしら作文全体にかかわっていればよいのであって,課題を意識して「~とは」と書き始める必要はありません。作文であって論文ではないのですから,課題を定義づける必要も特にありません。

 作文は,前向きに書く,しかし,きれいごとを書くわけでも,定義づけをするわけでもない。まずは,この三つの点を理解してください。

​実際に書いてみよう!

今回の課題「小さな親切」

「小さな親切」という題で,下の条件(1)・(2)に従って,作文原稿用紙に文章を書きなさい。

 (1) 二段落構成とし,前段には小さな親切にかかわること(体験)について具体的に書き,後段にはそのことに関して自分の意見や感想を書く。
 (2) 字数は220字以上260字以内とし,文字は丁寧に書く。

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添 削

 次の文章はよく書けていますが,直すべき点もあります。

 私が添削したものを紹介します!

 あなたならどのように直しますか?

うかりますぞう_吹き出しなし.png

 先生,添削(てんさく)って何ですか?

​ 文章を直すことですか?

 そうです!

 添削とは,文章をけずったり書き加えたりして何度も練り直し,いっそう良くすることです!

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アイディア

上記の作文の添削例を一緒に考えましょう!

カーソルを合わせると,先生の添削例が見えるよ!

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Good Point!

 席を譲れなかったことへの後悔の強さが,この作文の重みです。表現に無駄が少なく,前半と後半もうまく釣り合いがとれています。添削箇所は多いですが,総合的にはいい文章です。この調子で励んでください。

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